英語の分詞構文とは?位置・意味・用法をわかりやすく説明

分詞構文

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英語の分詞構文とは、現在分詞(-ing)や過去分詞(-ed)ではじまる句が、文全体に情報を付け加えるはたらきをするものを言う。

例えば、Working as an engineer, John earned a lot of money.(技術者として働き、ジョンはたくさんのお金を得た)であれば、Working as an engineer(技術者として働き)が分詞構文に該当する。

この記事では分詞構文について詳細を解説していく。学習の役に立つはずだ。

1. 分詞構文は接続詞のように情報を付け足す表現

分詞構文とはそもそも何なのか? 分詞構文はどのような場面で使うのか? 例文を使って見ていきたい。

  • (1) Watching the movie, I remembered my old friends. (映画を見ている時、私は旧友を思いたした)
  • (2) Used economically, one case will last for 10 days. (節約して使えば1ケースは10日もつ)

(1)はWatching the movie(映画を見ている時)、(2)はUsed economically(節約して使えば)が分詞構文に該当する。

分詞構文とはこのように、現在分詞(V-ing)または過去分詞(V-ed)の動詞が、接続詞の働きを兼ねて用いられる用法をいう。接続詞(あるいは前置詞等)を使わずとも、-ing(-ed)の動詞を用いることで、主節に句を加えられる用法と言ってよい。

分詞構文の主語は主節の主語と一致する。(1)で「映画を見た」のは「私」であり、(2)で「節約して使われる」のは「ケース」である:

  • (1′) (I was) watching the movie, …
  • (2′) (One case is) used economically, …

学校文法では分詞構文を、接続詞を用いて書き換えができるとしてきた。これはまさしく、分詞構文が接続機能を持っているからにほかならない:

  • (1″) When I watched the movie, I remembered my old friends. (映画を見ている時、私は旧友を思いたした)
  • (2″) If it is used economically, one case will last for 10 days. (節約して使えば1ケースは10日もつ)

分詞構文はどちらかと言うと書き言葉で用いられることが多い。ただ、後ほど『3. 分詞構文の意味』で見るように、意味の曖昧さが残ることがあるので、論理的な文章では回避される傾向にある。

2. 分詞構文の位置

分詞構文は文頭、文中、文末のいずれかの位置に使われる。

文頭[分詞構文]+[主語+動詞+その他]
文中主語+[分詞構文]+動詞+その他
文末[主語+動詞+その他]+[分詞構文]

それぞれの使い方を説明していこう。

2-1. 文頭に置かれる分詞構文

  • (3) Reading the handout, I found many misprints. (ハンドアウトを読んでいる時、私はたくさんの誤植を見つけた)

分詞構文は多くの場合、文頭に置かれる。例文は「ハンドアウトを読んでいる時、私はたくさんの誤植を見つけた」の意味。

分詞構文が文頭に置かれる場合、主節と区別するため、「,(カンマ)」を入れることがある。一方、短い文であれば、カンマを入れないこともある。

カンマがない場合、分詞構文がどこまで及ぶか、範囲の見極めが重要。例文は動詞found(見つけた)に対応する主語がI(私)なので、Reading the handout(ハンドアウトを読んでいる時)が分詞構文に該当する:

  • (3′) Reading the handout I found many misprints. (ハンドアウトを読んでいる時、私はたくさんの誤植を見つけた)

詳しい解説
例文で述語動詞になれるのはfoundのみ。主語を探すことになるが、”Reading the handout I”と”the handout I”はいずれも名詞句として失格なので主語になれない。文中ではIが唯一主語になれる。Reading the handoutが余るので、これを分詞構文と判断する。

2-2. 文中に置かれる分詞構文

  • (4) The children, seeing the owner of the orchard, ran off. (子供たちは、果樹園主を見ると、逃げ出した)

(実例解説 英文法)

分詞構文は稀に、文中に挿入されることがある。他の要素と区別するため、前後に「,(カンマ)」を入れるのがふつう。

例文は「子供たちは、果樹園主を見ると、逃げ出した」の意味。

2-3. 文末に置かれる分詞構文

  • (5) The typhoon hit Tokyo, causing serious damage. (台風は東京に上陸し、甚大な被害をもたらした)

分詞構文は文末に置かれる。例文は「台風は東京に上陸し、甚大な被害をもたらした」の意味。

分詞構文が文末に置かれる場合、主節と区別するため、「,(カンマ)」を入れることがある。一方、短い文であればカンマを入れないこともある。

カンマがない場合、分詞構文がどこから始まるか、範囲の見極めが重要。例文であれば、The typhoon hit Tokyo(台風は東京に上陸した)がSVOで1つの節になっているので、causingから分詞構文がはじまると判断する:

  • (5′) The typhoon hit Tokyo causing serious damage. (台風は東京に上陸し、甚大な被害をもたらした)

3. 分詞構文の意味

分詞構文を使った文は、その文脈によって、様々な異なる意味に解釈される。分詞構文の意味について議論していきたい。

3-1. 時

  • (6) Waiting at the bus stop, I met Oliver. (バス停で待っている時、オリバーに会った)

分詞構文は「…するとき」の意味でを表すことがある。例文は「バス停で待っている時、オリバーに会った」の意味。

この場合、接続詞whenwhileを使って、おおよそ同じ意味の文をつくれる:

  • (6′) When I waited at the bus stop, I met Oliver. (バス停で待っている時、オリバーに会った)

3-2. 原因・理由

  • (7) Persuaded by my sister, I bought a new coat. (姉に説得されたので、私は新しいコートを買った)

分詞構文は「…なので/…だから」の意味で原因・理由を表すことがある。例文は「姉に説得されたので、私は新しいコートを買った」の意味。

この場合、接続詞sincebecauseなどを使って、おおよそ同じ意味の文をつくれる:

  • (7′) Since I was persuaded by my sister, I bought a new coat. (姉に説得されたので、私は新しいコートを買った)

3-3. 付帯状況

  • (8) Smith entered the meeting room, accompanied by the president. (スミスは社長に付き添われながら会議室に入った)

付帯状況は「同時に起こる」のことで、「…しながら」と解釈する。例文は「スミスは社長に付き添われながら会議室に入った」の意味。

3-4. 条件

  • (9) Turning to the right, you will find the sport center. (右に曲がればスポーツセンターを見つけられますよ)

分詞構文は「…すれば」で条件を表すことがある。この用法の出現頻度は稀。

この場合、接続詞ifなどを使って、おおよそ同じ意味の文をつくれる:

  • (9′) If you turn to the right, you will find the sport center. (右に曲がればスポーツセンターを見つけられますよ)

3-5. 譲歩

  • (10) Admitting that he faced pressure from his family, he said: “My dad is the kind of man you want to please.” (家族からのプレッシャーに直面したことを認めたものの、彼は「父はあなたが気にいるような類の人だ」と言った)

分詞構文は「…しながらも」で譲歩を表すことがある。この用法の出現頻度は稀。

この場合、接続詞thoughなどを使って、おおよそ同じ意味の文をつくれる:

  • (10′) Though he admitted that he faced pressure from his family, he said: “My dad is the kind of man you want to please.” (家族からのプレッシャーに直面したことを認めたものの、彼は「父はあなたが気にいるような類の人だ」と言った)

分詞構文を区別する方法
以上、分詞構文の意味を紹介してきたが、意味は分詞そのものにあるわけではなく、分詞を含む文全体から出てくる。
例えば、(6)の例文は「バス停で待った」の最中に「オリバーに会った」と考えるのが普通だから「時を表す分詞構文」と分類したのである。
したがって、分詞構文の箇所だけを見て「これは何の意味だろう?」と考えても答えは出てこない。文全体から総合的に判断するほかない。

詳しい解説
分詞構文の意味を文全体から解釈するとなれば、意味が曖昧な文も当然出てくる。例えば、ある文を時と原因・理由のどちらと解釈するか迷う場面もある。逆に言えば、こうした曖昧さを残せる点が分詞構文の特徴と言っても良い。

4. 分詞構文の注意すべき用法

分詞構文の様々な用法を紹介したい。

4-1. 否定の分詞構文

  • (11) Not knowing what Ponzu Sauce is, I googled a recipe for it. (ポン酢が何か知らずに、私はレシピをグーグル検索した)

notを用いることで否定の分詞構文をつくれる。例文は「ポン酢が何か知らずに、私はレシピをグーグル検索した」の意味。

(googleは「グーグル検索する」の意味の動詞)

4-2. 接続詞+分詞構文

  • (12) While reading a book on my tablet, I can see the number of total pages. (タブレット端末で本を読む間、合計ページ数を見られる)

分詞構文を接続詞と一緒に使えば、意味の曖昧さは回避される。例文は「タブレット端末で本を読む間、合計ページ数を見られる」の意味。

分詞構文か主語・beの省略か
While readingは「接続詞+分詞構文」と「接続詞における主語・be動詞の省略」のどちらにも受け取れる。
厳密な解釈は様々な提案があるが、本記事ではとりあえず「接続詞+分詞構文」と考えたい。

4-3. 受動態の分詞構文

  • (13) Written in English, the article is an important informational resource for tourists. (英語で書かれているので、その記事は観光者たちにとって貴重な情報資源だ)

分詞構文は受動態でも使用される。例文は「英語で書かれているので、その記事は観光者たちにとって貴重な情報資源だ」の意味。

受動態の分詞構文はしばしばBeingが省略される。完了形と受動態を区別するには、beingを挿入して自然なほうを選ぶと良い:

  • (13′) Being written in English, the article is an important informational resource for tourists. (英語で書かれているので、その記事は観光者たちにとって貴重な情報資源だ)

4-4. 分詞構文の時制

  • (14) Feeling exhausted, Beth went to bed early. (疲れきったのでベスは早く寝た)
  • (15) Having finished the job, Beth went to bed. (仕事が終わったのでベスは寝た)

-ingのような単純形の分詞構文は、文の述語動詞と同じ「時」をあらわす。(14)は「疲れた(と感じた)」と「早く寝た」が同一の時間軸にある。

Having -ingのような完了形の分詞構文は、述語動詞よりも前の出来事をあらわす。(15)は「仕事が終わった」が前、「寝た」が後に起きた出来事。

Having -ingの意味
完了形は「…した状態をすでに持っていた」と考えるとわかりやすい。(13)は「仕事を終えた状態をすでに持っていたので、寝た」の意味。

4-5. Beingの省略

  • (16) Confident that Mr. Takashi Ota was much more qualified than other candidates, Argnome Corporation hired him as the new vice president.
    (Takashi Otaさんがほかの候補者よりもはるかに適任だと確信して、Argnome社は彼を新しい副社長として採用しました)

(TOEIC®テスト公式問題集 新形式問題対応編)

現在分詞のBeingは省略されることがある。例文のbeingを復元すれば次のようになる(Beingの主語はArgnome Corporation):

  • (16′) Being confident that Mr. Takashi Ota was much more qualified than other candidates, Argnome Corporation hired him as the new vice president.

独立分詞構文の使い方
独立分詞構文の使い方は別記事で解説している。興味のある方はぜひともご覧いただきたい。

*まとめ: 分詞構文を乗り越えよう

この記事では、英語の分詞構文について詳細を解説してきた。

内容をまとめると次のようになる:

  1. 分詞構文は情報を付け足す用法
  2. 分詞構文は文頭・文中・文末に置かれる
  3. 時、原因・理由、付帯状況、条件、譲歩などの意味がある
  4. 否定や受動態の分詞構文を作れる
  5. Beingは省略されることがある

分詞構文で挫折してしまう学習者は多い。筆者も分詞構文をはじめて習った際、その複雑さに驚いたことを記憶している。

分詞構文で迷ったときはぜひまたこの記事に戻ってきてほしい。きっと答えが見つかるはずだ。

トイグルでは他にも、英文法に関する記事を執筆している。興味のある方はぜひご覧いただきたい。

Good luck!

8 COMMENTS

Shunji

3-5. 結果の分詞構文は、分詞構文(=副詞句)の例外だと思っていました。結果の分詞構文も例外ではなく副詞句である訳がわかりました。日本語に訳すと等位接続であり副詞句ではないけれど、英語の感覚は副詞句ですね。•Tsunami destroyed the city, causing the economic downturn. (津波は街を破壊し、経済停滞を引き起こした)=(津波は街を破壊した、経済停滞を引き起こしながら。=津波が街を破壊した時点で、今の経済停滞を引き起こす要因が生じていたいう感覚。) *結果の分詞構文を等位節として訳したら混乱しますよ。分詞構文なのに副詞句じゃない?他のサイトにも、こちらのサイトのような説明が欲しかった。

Nobuhiro Nishida

先生おはようございます、分詞構文の質問なんですが、コンマの後のingは何かが省略されてる?と、習ったんですが、その省略された文を見つけるのは何処を見ればいいのですか?
これはNHKさんのテキストからですが、
Doctors in Japan are touting a breakthrough , saying artificial intelligence has saved a patient’s life
この文では、and they are が省略された文ですが、他の文では何処を見ればいいのですか?よろしくお願いします。

田邉竜彦

>Nobuhiro Nishida様

ご質問ありがとうございます。

ケース・バイ・ケースですが、分詞構文は直前の名詞か、文の主語が主体になることがほとんどなので、意味的に違和感のないほうを選んでいます。

省略が起こっているというのは、確かに詳細に分析すればその通りなのですが、個人的には、「コンマ+-ing形」が使われる時、その直後に省略があるのを意識することはありません。

いただいた例文なら、sayingしているのは文の主語Doctors in Japan(日本の医者たち)です。
なので、「日本の医師たちは飛躍的な進歩を賞賛しています、(日本の医師たちは)言っています、人工知能が患者の命を救った」のように、文の流れるままに解釈しています。

ご参考まで…

田邉竜彦

>Shunji様

コメントありがとうございます。
当方の力量では上手な翻訳がなかなか難しいのですが、できるだけ英語の持つイメージを伝えていきたいと思っています。

Shunji

お礼のコメントをいたしたつもりだったのですがすみませんでした。「結果を表す分詞構文は副詞句なのか?等位接続詞の省略だから副詞句ではない。よって分詞構文とは呼べないはずなのに、多くの参考書が分詞構文としている。」長らく悩んでいた時に当サイトに出会い理解できました。ありがとうございました。

田邉竜彦

>Shunji様

ありがとうございます。
今後も良い記事を書いていきたいと思うので、よろしくお願いします。

りゅう

こんにちは。分詞構文についてですが、たまに
コンマの直後に過去分詞(done,taken,grownなど)がつくことがあるのですが、これも他の分詞構文と同様に条件・理由や結果などから意味を探るのが良いでしょうか?

田邉竜彦

>りゅう様

コメントありがとうございます。

はい、コンマの直後に過去分詞がつく際も、現在分詞の場合と同様に、意味を検討すると良いと思います。

(本記事では「3-2. 原因・理由」と「3-3. 付帯状況」が過去分詞の例を使っています。ご参考まで…)

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