仮定法の使い方|たった1つのコツで全用法を理解する方法

仮定法

仮定法とは「距離感」を意味する動詞の過去形を使うことで、現実と異なる仮定の状況を表現する英文法である。

現在の事実に反することであれば時制を1つ前に戻し過去形、過去の事実に反することであれば時制をhad+完了形の形で用いる。

…と、文字で書いてもまだ分かりにくいかもしれないため、トイグルでは仮定法の用法を1つずつ丁寧に説明しよう。専門用語を極力使わず、わかりやすさを最重要視して説明していきたい。

*目次

  1. 仮定法とは何か
  2. 仮定法過去
  3. 仮定法過去完了
  4. 仮定法未来
  5. 仮定法現在
  6. 仮定法と倒置
  7. まとめ

1. 仮定法とは何か

はじめに、仮定法と呼ばれる文法の正体を明らかにしていこう。個々の用法に入る前に、仮定法そのものの仕組みを理解することが大切だ。

1-1. 仮定法の意味

トイグルでは、仮定法を次のように定義している。

仮定法: 事実と異なる仮定の状況を述べる際、それを相手に伝えるための文法

(トイグル)

例えば、あなたが昨日高額なバッグを買ってしまい、ひどく後悔しているとしよう。買ってしまったことは事実だが、「もし買わなかったら・・・」と心の中で考えることもあるだろう。

このように、事実と異なる「If」を表現するための文法を仮定法と言う。バッグの例は、次のようにまとめることができる。

  • 事実: 昨日、高額なバッグを買ってしまった。
  • 仮定: 昨日、高額なバッグを買わなかったとしたら。

1-2. 仮定法の文法

上級者向けの文法と思われている仮定法だが、実はその原理は非常にシンプルだ。

仮定法: 動詞の時制を1つ前に戻す

(トイグル)

仮定法を作るためには、動詞の時制を1つ前に戻すだけでいい。現在の事実と反することであれば過去形に、過去の事実に反することであれば過去完了形にするだけで、仮定の状況を述べていることを相手に伝えることができる。

ところで、英語における「過去形」の機能はあまり知られていない。実は、過去形の本質は「距離感」を表す機能を持っているのだ。

そこで、英語では過去形を使うことで、次の3つのうちのいずれかを表現することができる。

  • 時間的な距離感 (一般的に言われる過去形)
  • 相手との距離感 (丁寧な表現)
  • 現実からの距離感 (仮定法)

事実と反する仮定的な状況とは、現実からの距離感を示すことにほかならない。そこで、動詞の時制を1つ前に戻すことで「現実からの距離感」を表現し、仮定の話をしていることを相手に伝えることができるのだ。

現実からの距離感

※過去形という呼称から、我々はどうしても過去の出来事をイメージしてしまう。しかし、その本質は距離感を表すものなので、過去形というネーミングがそもそも正確ではないのかもしれない。

1-3. 仮定法の種類

一般的な解釈として、仮定法には次の4種類がある。

  • 仮定法過去
  • 仮定法過去完了
  • 仮定法未来
  • 仮定法現在

このうち最も使用頻度が高いものは、仮定法過去と仮定法過去完了である。英語初級者・中級者の方々は、この2項目を重点的にご覧いただきたい。

それでは、1項目ずつ解説していこう。

2. 仮定法過去

トイグルでは、仮定法過去を次のように定義している。

仮定法過去: 過去形の時制を使い、現在の事実に反する内容を表現すること

(トイグル)

仮定法は、動詞の時制を1つ前に戻す。現在の事実に反する内容を過去形を使って表現するから、「仮定法過去」と呼ばれているだけである。決して、過去の事実を述べているわけではない。

用語の使い方で混乱しないよう、注意したい。

2-1. If節を使う仮定法過去

Ifは「もし〜なら」の意味で使われる語句だ。Ifは意味的に仮定法との相性が良い。

  • If I married you, I would buy a house. (もし私があなたと結婚したら、きっと家を買います。)

意味の観点から、事実と仮定を整理しよう。

  • 事実: 私はあなたと結婚しておらず、家も買っていない。
  • 仮定: もし私があなたと結婚したら、家を買うだろう。

次に、文法の観点から事実と仮定を整理する。

仮定法過去は、過去形の時制を使い、現在の事実に反する仮定を表現することを思い出そう。

  • marry→married (1つ前の時制)
  • will buy→would buy (1つ前の時制)

このように動詞の時制を1つ前に戻すことで、仮定の状況を表現することができる。

2-2. I wishを使う仮定法過去

I wishは「〜を願う」のような意味で、強い願望を表す表現だ。現実に反することを表現する際に使われる事が多いので、仮定法と相性が良い。例を見てみよう。

  • I wish I could speak English. (英語を話せたらいいのになぁ)
意味の観点から、事実と仮定を整理しよう。
  • 事実: 私は英語が話せない
  • 仮定: 私は英語が話せる

次に、文法の観点から事実と仮定を整理する。

  • can speak→could speak (1つ前の時制)

願っている行為自体は今行われている事実であるため、I wishは現在形のまま使われている点に注意しよう。

2-3. If onlyを使う仮定法過去

If onlyは「〜でありさえすれば」を意味する極だ。Ifがついているが、2つの文章をつなげる必要はない、変わったフレーズである。

  • If only they could come with us. (彼らが私たちと一緒に来られさえすれば。)

意味の観点から、事実と仮定を整理しよう。

  • 事実: 彼らは私たちと一緒に来られない。
  • 仮定: 彼らは私たちと一緒に来られる。

次に、文法の観点から事実と仮定を整理する。

  • can come→could come (1つ前の時制)

2-4. as if/as thoughを使う仮定法過去

as if及びas thoughは、「まるで〜のように」を意味するフレーズである。どちらも同じニュアンスを持っている表現だ。

  • He works everyday as if he was a machine. (彼は毎日働く、まるで機械のように。) 

意味の観点から、事実と仮定を整理しよう。

  • 事実: 彼は機械ではない。
  • 仮定: 彼は機械のようだ。

次に、文法の観点から事実と仮定を整理する。

  • is→was (1つ前の時制)

彼が毎日働いていること自体は事実であるため、He works everyday(彼は毎日働く)は現在形のまま使われている点に注意しよう。

3. 仮定法過去完了

トイグルでは、仮定法過去完了を次のように定義している。

仮定法過去完了: 過去完了形の時制を使い、過去の事実に反する内容を表現すること

(トイグル)

仮定法は、動詞の時制を1つ前に戻す。過去の事実に反する内容を過去完了形を使って表現するから、「仮定法過去完了」と呼ばれているだけである。決して、過去のまた過去(いわゆる大過去)の事実を述べているわけではない。

3-1. If節を使う仮定法過去完了

If節を使った仮定法過去完了の例を見てみよう。

  • If I had known the news, I would have told you. (もし私がそのニュースを知っていたら、私はあなたに話していたでしょうに。)

意味の観点から、事実と仮定を整理する。

  • 事実: 私はそのニュースを知らなかったし、私はあなたに話していない。
  • 仮定: 私がそのニュースを知っていたら、私はあなたに話していた。

次に、文法の観点から事実と仮定を整理する。

仮定法過去完了は、過去完了形の時制を使い、過去の事実に反する内容を表現することを思い出そう。

  • I knew→I had known (1つ前の時制)
  • I would tell you→I would have told you (1つ前の時制)
※ I would have told youは、told you(あなたに言った)という(時間的な意味の)過去の状況を、haveしていることを、wouldを用いてさらに1つ前の時制に戻している。そのため過去完了の用法として使えるのだ。

3-2. I wishを使う仮定法過去完了

I wishを使った仮定法過去完了の例を見てみよう。

  • I wish I hadn’t married her. (彼女と結婚していなければと思う。)

意味の観点から、事実と仮定を整理する。

  • 事実: 私は彼女と結婚した。
  • 仮定: 私は彼女と結婚していなければ・・・

次に、文法の観点から事実と仮定を整理する。

  • I have married her→I hadn’t married her. (1つ前の時制。意味的にnotが加わる。)

尚、願っている行為自体は今行われている事実であるため、I wishは現在形のまま使われている点に注意しよう。

3-3. If onlyを使う仮定法過去完了

If onlyを使った仮定法過去完了の例を見てみよう。

  • If only I had gone with my father. (私が父と行きさえすれば。)

意味の観点から、事実と仮定を整理しよう。

  • 事実: 私は父と行っていない。
  • 仮定: 私が父と行きさえすれば。

次に、文法の観点から事実と仮定を整理する。

  • have gone→had gone (1つ前の時制)
※ 実際のところIf onlyは仮定法過去で使われることがほとんどだ。

3-4. as if/as thoughを使う仮定法過去完了

as if/as thoughを使った仮定法過去完了の例を見てみよう。

  • He said something as if I had asked a question. (彼は何かを言った、まるで私が質問をしたかのように。)

意味の観点から、事実と仮定を整理しよう。

  • 事実: 私は質問をしていない。
  • 仮定: まるで私が質問をしたかのように。

次に、文法の観点から事実と仮定を整理する。

  • have asked→had asked (1つ前の時制)

彼が質問をしたこと自体は事実であるため、He said something(彼は何かを言った)は過去形のまま使われている点に注意しよう。

4. 仮定法未来

トイグルでは、仮定法未来を次のように定義している。

仮定法未来: 一部の助動詞の過去形を使い、未来の仮定的な状況を表現すること

(トイグル)

英語の時制に未来形は存在しないため、通常はwillなどの助動詞を使って、その起こりうる可能性を表す。仮定法未来は、「仮に未来に起こったら」のようなニュアンスで、未来における仮の内容を表現することができる文法だ。

尚、仮定的未来は、were toとshouldの2種類の用法が主に使われる。

4-1. were toを使う仮定法未来

were toはbe toの時制を1つ前に戻したものとなる。前置詞toには「動作がある方向に向かい、そこに到達する状態」のイメージがあるため、be toで未来のことを表現することができる。

  • We are not to talk to strangers. (私たちは見知らぬ人と話さない。)

toのイメージ

正式な文法では、仮定法で使われるbe動詞は、主語のタイプにかかわらずwereが使われる。そこで、未来を述べるbe toの時制を1つ戻しwere toにすることで、未来に関する仮定を述べることができるのだ。

例を見てみよう。

  • If it were to rain tomorrow, the game would be cancelled. (もし明日が雨になるなら、その試合は中止となるだろう。)

意味の観点から、事実と仮定を整理しよう。

  • 事実: 明日は雨になるかもしれない、その場合試合は中止となるだろう
  • 仮定: 明日は雨になると仮定すると、試合は中止となる

次に、文法の観点から事実と仮定を整理する。

  • is to→were to (1つ前の時制)
  • will be canceled→would be canceled (1つ前の時制)

未来を表現するにもかかわらず、時制が過去となっている点がややこしい。しかし、英語は助動詞の現在形を使って未来の表現をしなくてはならないため(例: will)、その過去形が必然的に選ばれるのだ。

4-2. shouldを使う仮定法未来

助動詞shouldを使うことで、未来に関する仮定を表すことができる。shouldがshallの過去形であることがわかれば、比較的容易に理解できるだろう。

  • If a serious crisis should arise, the government would have to take immediate action. (もし重大局面が発生するのであれば、政府は直ちに対応しなくてはならない。)

意味の観点から、事実と仮定を整理しよう。

  • 事実: 重大局面が発生するかもしれない、その場合政府は直ちに対応しなくてはならないだろう
  • 仮定: 重大局面が発生すると仮定すると、その場合政府は直ちに対応しなくてはならない

次に、文法の観点から事実と仮定を整理する。

  • shall arise→should arise (1つ前の時制)
  • will have to→would have to (1つ前の時制)
※英文を日本語に翻訳すると、通常の未来の文章と、仮定法未来は区別をつけづらい。しかしこれは日本語の問題であり、英語のニュアンスに違いがあることには変わりない。

5. 仮定法現在

トイグルでは仮定法現在を、次のように定義している。

仮定法現在: 動詞の原形を使い、現在まだ行われていない状況を表現すること

(トイグル)

仮定法現在は「仮定法」の名が付いているものの、これまで説明してきた他の用法とは意味・文法が大きく異なる。

仮定法現在では、動詞の原形が使われる。動詞の原形の基本イメージは「まだ行われていない」であるため、仮定法現在は現時点で行われるべきだが、まだ行われていない状況を表す。

具体的には、ask、demand、request、desire、propose、suggest、require、insistなどの願望・提案・要求などを表す文に、仮定法現在が使われることが多い。

例を見てみよう。

  • I suggest that he go to the hospital. (彼は病院に行くべきだと私は提案する。)

意味の観点から、現状と提案を整理しよう。

  • 現状: 彼は病院に行っていない
  • 提案: 彼は病院に行くべきだ

次に、文法の観点から事実と仮定を整理する。

  • goes→go (動詞の原形)

that節内は三人称単数であるheが主語であるにもかかわらず、goesではなく原形goが使われている。提案をするということは、その内容はまだ行われていない。動詞の原形が持つ「まだ行われていない」のイメージが合うため、ここではgoが使われているのだ。

仮定法現在では動詞の原形を使うため、notを使って否定を表す場合、動詞はnotの後ろに使う。助動詞の後ろに動詞が来る感覚と同じだ。

  • I suggest that he not go to the hospital. (彼は病院に行くべきでないと私は提案する。)

尚、最近は仮定法現在の用法にも変化が出てきており、通常通り主語のタイプに合わせて動詞を現在形で活用させることが多い。特にイギリス英語では、仮定法現在を使わない傾向にある。

したがって、先の文章はgoesを使って次のように書いても、決して間違いではない。

  • I suggest that he goes to the hospital. (彼は病院に行くべきだ。)

6. 仮定法と倒置

If節内でshould, had, wereを使う仮定法では、倒置の構造で文章を書くことも可能だ。倒置にすることで、よりフォーマルな文体となる。

6-1. shouldを使った倒置

If節内にshouldが使われている仮定法の文では、if節を倒置構造にすることができる。

例を見てみよう。

  • If you should have any further inquiries, please do not hesitate to contact us. (もし他の質問があれば、遠慮なく我々に連絡してください。)
  • Should you have any further inquiries, please do not hesitate to contact us. (もし他の質問があれば、遠慮なく我々に連絡してください。)

翻訳はどうしても同じになってしまうが、それは日本語の都合であって、英語では2つ目の文のほうがよりかしこまった印象を与える。

このように、倒置の際は元の文のifを外し、shouldと主語の位置を入れ替えるだけでいい。この例では次のようになる。

  • If you should have→Should you have

否定形にする場合は、主語の後にnotを入れる。

  • Should you not have…

6-2. hadを使った倒置

If節内にhadが使われている仮定法の文でも、if節を倒置構造にすることができる。

例を見てみよう。

  • If they had known, they would have been more surprised. (もし彼らがそれを知っていたら、もっと驚いていただろう。)
  • Had they known, they would have been more surprised. (もし彼らがそれを知っていたら、もっと驚いていただろう。)

shouldの場合と同様に、倒置の際は元の文のifを外し、hadと主語の位置を入れ替えるだけでいい。この例では次のようになる。

  • If they had known→Had they known

否定形では、主語の後にnotを入れよう。

  • Had they not known…

6-3. wereの倒置

If節内にwereが使われている仮定法の文でも、if節を倒置構造にすることができる。were toではないことに注意しよう。

例を見てみよう。

  • If the doors were open, I should remain here. (もしドアが開いていたら、私はここにとどまったほうがいい。)
  • Were the doors open, I should remain here. (もしドアが開いていたら、私はここにとどまったほうがいい。)

shouldやhadの場合と同様に、倒置の際は元の文のifを外し、wereと主語の位置を入れ替えるだけでいい。この例では次のようになる。

  • If the doors were open→Were the doors open

否定形では、主語の後にnotを入れよう。

  • Were the doors not open, …

7. まとめ

当エントリーでは、英語の仮定法について解説を行ってきた。仮定法には様々な用法があるが、仮定法現在を除けば、文法的には「動詞の時制を1つ前に戻す」原則に変わりはない。

仮定法の全用法をまとめると、次のようになる。当エントリーを読んだ方であれば、すぐに理解できるだろう。

仮定法過去 現在の事実に反すること
仮定法過去完了 過去の事実に反すること
仮定法未来 未来の仮定的な状況
仮定法現在 現在まだ行われていないこと

*当記事を読んでもっと知りたいと思った方は、次のエントリーも参考にしていただきたい。

Good luck!

コラム: 仮定法は時代遅れ?

仮定法は、日本の英語教育では特に力を入れて教えられている分野である。しかし、英米の文法書を読むと、仮定法に割かれているスペースは日本の英文法書に比べはるかに少ない。

また、仮定法(subjunctive-mood)という呼び名で説明をしている文法書も少なく、代わりに「I wishの使い方」だったり、過去形の使い方のいち用例として紹介しているものが目立つ。これは、学習者用の文法書を作る場合、英米ネイティブにとって仮定法の優先順位が低いことを意味する。

トイグルではこの最大の理由を、仮定法は過去形の一種にすぎないからと分析している。仮定法は、過去形の持つ距離感のいち用法にすぎない。仕組みは単純なため、動詞の時制と助動詞の使い方さえ知れば、本来仮定法は理解できるはずなのである。

ところが、日本では必要以上に仮定法に比重を置き、あたかも難易度の高い超上級者向けの文法のように扱う。同じ原理のものを必要以上に細かく分類し、言語学的な正確さを追求するあまり、専門用語を使って小難しい説明に終始しているのだ。

当エントリーは既存の日本人学習者向けに書いたため、わかりやすさを重視し、不本意ながら仮定法の従来の分類を採用した。

しかし、トイグルは現状の文法学習と、本来あるべき姿のギャップを埋めるべく、日本人にとって本当に必要な英文法を解説することを目標としている。もしお時間があれば、他のエントリーもご覧いただけると幸いだ。

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